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ただ、心配なのは、彼が突然振り返って、ぼくらが尾行してるのに気付くこと。そうなったら…きまずいよね。
でも、創也は、振り返ることもなくヒョイヒョイと道を歩いていく。
「なんだか、とっても楽しそうだね」
確かに、後ろ姿だからわからないけどきっといい笑顔で歩いているんだろうな。
やがて、創也が左に曲がった。
ペンケースが音をたてないように、バックを押さえて、ぼくらは、走った。
あっ、空は、手ぶらだ。
創也と同じように、左に曲がる。
そして…
ぼくらは、2・0の両目をゴシゴシこすった。国語で習った、『わが目を疑う』という状況だ。
創也がいない…。
消えてしまった。
街灯の黄色い光がアスファルトをてらしてるだけ。
歩道は百メートル程まっすぐに続いていて、その先は、交差点。
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