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ぼくらは、その場に立ちすくんで創也が消えた謎を考えていた。
でも、どれだけ考えてもわからない。
創也は消えてしまった。
その時、黒ぬりの大型車が静かに走ってきて、ぼくらの少し先でとまった。
中から、黒い背広の若い男の人がでてくる。
長身のその人は、車にもたれるようにして、マッチでタバコに火をつけた。そして、立ちすくんでるぼくらに気付いて、
「どうしたんですか?」
と声をかけてきた。
丁寧な言葉遣いに、くちもとの笑み。
でも、目がちっとも笑ってない。うすい唇のあいだから、チロリと犬歯が見えた。
「内人。この人ヤバイ」
ぼくは、目の前で両手をブンブン回していった。
「いえ、なんでもありません!さようなら」
そして、180度の方向転換。
つまり、ぼくらは、逃げた。
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