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「ふぁ、疲れたねー。」
「お疲れさまです、会長。」
桜が散る季節。
入学式を無事終え、生徒会の会長 ―― 鳳麗夜(オオトリレイヤ)―― と、副会長 ―― 春日咲(カスガサキ) ―― の姿が生徒会室にあった。
「にしてもまだ女生徒の入学が少し多いですね。」
そう、此処『県立東高校』は、制服が可愛いと言われ、受験会場も女子がほとんどだったのだ。
それでもやはり男子もいるわけで、比率で表せば、3/5が女子の割合である。
「けどさぁ、代表で出てきた一年。男やったなぁ。」
麗夜の関西弁に咲は手元にあった資料をパラパラとめくり、その名を読んだ。
「ああ、あの方ですか。確かに名前だけだと女性のような名前でしたね。」
「…萩元阿曇(ハギモトアズミ)…。」
咲は資料から目を離し、麗夜を見た。
「覚えていたんですか。」
それに麗夜は笑って応える。
「当たり前やないか。
野郎は野郎でも、えらい別嬪さんやったやないか。
そりゃ名前も覚えるで。」
「そうですね。会長は興味のある方の名前は一回で覚えてしまいますもんね。」
「何や、咲。いつもよりえらい冷めた言い方やったな、今。」
「……そんなことはないですよ。」
「何やの、さっきの間は。
……まぁ、ええわ。
あの入学式。見物やったなぁ。
代表の名前聞いてどんな美少女が出るかと思うたら、美少年やったからなぁ。
ありゃモテるで。
ま、俺ほどやないと思うけど。」
そして麗夜は立ち上がり、苛めっ子の様な笑みを浮かべながら、
「咲。アイツを生徒会のメンバーにはできへんか?」
「また貴方はそんな無茶を…。」
ニュアンスは呆れた風だが、咲の表情も少し楽しそうだ。
「まぁ、権利は使ってなんぼやし、この俺にできへんかったことなんて記憶にないで。」
「それはただ貴方が、都合の悪いことを記憶から消してるだけじゃないんですか?」
「……咲。それ酷い…」
麗夜は泣き真似をしたが、咲はそれを無視した。
それはそれは、いつもの風景。
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