2.逢

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「で?アイツの情報は集められたんか?」 「誰に言っているんですか。勿論集まっていますよ。」 「クスッ…流石。」 麗夜は静かに笑いながら弓を引く。 「で?どの部活に入りそうや?」 目線の先にある丸い的を見つめる。 「そうですねぇ。中学の頃は帰宅部だったようですよ。しかし、運動神経は抜群。好きなスポーツは一応バスケのようです。」 「バスケ、か…。呼びにくいなぁ」 麗夜はまだ手を離さない。 「あれ?俺様に不可能なことなんてない、と言ったような…。」 「何や。えらく期待してんのやな、咲。」 「私も彼には興味がありますから。」 「ほぉ…。咲の興味引くなんて珍しいなぁ。」 これはますます楽しみやわ、と付け足す。 と、そこで周りの黄色い声が麗夜とは別の者を指した。 「あ、あれって今日出てきた一年生じゃない?」 「あ、本当!!キャーこんな近くで見れるなんて。」 「うわぁ、すっごい美形~。」 その瞬間、麗夜の口端が上がる。 そして、的の真ん中を弓が刺す。 「咲。行くで。」 振り返った麗夜の顔は凄く楽しそうで、 「ええ。お手並み拝見させてもらいます。」 咲もまた楽しそうにした。 「……。」 周りの女生徒を鬱陶しそうに見ながら阿曇は周りを見渡した。 「見学しに来たん?」 「……生徒会長…。」 麗夜と阿曇のツーショットを女生徒は輝く目で食い入る。 「経験は?」 「ない、です」 「ほな、やってみるか」 「……よければ…」 阿曇がそう曖昧に答えると麗夜は指を鳴らした。 「…え?ちょっ…!?」 その瞬間男子部員が現れ、あっという間に阿曇を連れ去った。 「行ってらっしゃ~い」 それに手を振る麗夜。 阿曇達の姿が見えなくなると、振っていた手をストンとおとし、同時に笑顔を止めた。 「……どこかで…」 何か考えるように、小さく、思わず漏れでた言葉。 また、阿曇も男子部員に連れ去られながら、 「…やっぱりアイツ、どこかで……?」 小さく漏れたお互いのその言葉が意味するものは、一体何であろうか。 はらり、と桜がまた春風に乗って散りゆく。
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