2.逢

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「でも咲も気になるんとちゃう?」 麗夜は横目で咲を見下ろす。 咲は目を伏せた。 「それは気になりますよ」 ―――謎だ。 そう思ったのは三人だった。 『俺は導かれるようにこの学校に来てしまった。 そしてあの生徒会長に出逢って、今ここにいる…。』 男子部員の説明が終わり、阿曇から離れる。 阿曇は一礼し礼を述べると早速、的と向き合った。 「フゥー……。」 目を閉じ深呼吸をする。 『弓道部に入り、生徒会長となるべく一緒にいたい。 あの記憶がかなり気になる…。』 パチッと目を開けると流れるように弓を引く。 「ア、イツ…!」 「…!」 その動きは初心者とは思えないほど落ち着いたもので、咲も麗夜も驚き、釘付けになる。 シュバン…! 的に当たる音。 フッと手を下ろし一息つく。 「ま、マジかいな…。 的に当てやがったで。」 「なんなんですか、この人。本当に初めて?」 驚く二人と阿曇が向き合う。 「どう、でしたか?」 「どう、って……。」 いつも冷静な麗夜が珍しく動揺していた。 『何だ……?俺、この光景……初めてやない……?』 「凄いですよ、萩元さん」 戸惑っている麗夜をチラと見ると、咲は一歩出て阿曇に笑顔を向けた。 「本当に初めてなんですか?」 「あ、……そうだと思っていたんですが…。」 阿曇は自分の両掌を見て続ける。 「矢を放ったとき…なんかこの感覚、知ってるな、とか思ったんですが…。」 掌から咲へと目線を移し。 「俺、やったことあるかもしれないッス。」 「でも中学じゃあ帰宅部でしたよね?好きではなかった、ということでしょうか。」 「あ、いや……その、家がゴタゴタしてて部活なんてできなかったんスよ」 「そうでしたか……。」 「実際やったことあるゆーても、それいつのことやねん。」 麗夜は咲の後ろから歩み寄り、彼女と並び、阿曇を視界に映す。 「初心者っちゅー言うても可笑しくないやろ。」 「ま、まぁ……記憶に無いくらいですからね……。」 阿曇は頭をかきながら俯き言う。 「にしても兄ちゃん好きなスポーツはバスケっちゅー情報が入っとるんやけど……。」 阿曇はそれを聞き、そんな情報をもう仕入れてるのか、と驚いたが表情には出さずに平然と答える。 「好きなスポーツとか嘘ですよ。」 「ウソ?」 麗夜は眉をひそめる。 「ありませんかね、好きなスポーツなんて。 ただ……。」 「…ただ……?」
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