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先程の上井との一件があった第五ブロック。
この第五ブロックは、第一都市の中央に位置する第一ブロックから南の方角に向かった地域だ。
第一ブロックの東には第二ブロック。
北が第三ブロック。
西に向かえば第四ブロック、となっている。
そして現在地は第一ブロック。
その中央部のビル群に位置する、第一都市の『ガード』本部。
その一階のエレベーター前。
目的地は八階、つまりこのビルの最上階。
エレベーターが到着すると同時に、狭い空間に俺ともう一人が乗り込むと扉が閉まる。
「……煉も災難だよなぁ?
通報受けて現場に行ってみたら、襲われてる人ってのがお前だもんな。
今日はお前せっかくの休みだったのに……もしかして厄日か?
ん?」
「……あんまり言わないでくださいよ、鞍馬先輩。
こっちだってまさか歩いてるだけで襲われるなんて思わなかったですし……」
「ははっ……生きてるだけラッキー、そう思っとけって。
何事も前向きに考えようじゃないか。
な?」
俺の隣に立ったままそう言うと、気だるそうに黒髪をポリポリと掻いた。
……俺の隣で八階に到着するのを待っているこの人。
鞍馬修治【クラマ シュウジ】
俺の二つ年上の先輩であり、現在新人である俺のパートナー。
狐目が特徴であり、気さくな性格なので割と周りからの印象も良かったりする。
「……まぁ確かにポジティブに考えるのはいいんですけどね、こっちもいきなり襲われたらたまったもんじゃ……あれ?
先輩なんかやつれてません?」
「あぁ、いや。
……ちょっと寝不足でな」
……あぁ、そうか。
「……『また』何かあったんですか?」
「……昨日の深夜、今から眠ろうとしていた時なんだがな?
多分能力者のせいだろうが、いきなり家の前で爆発が起きたんだ。
それから急いで着替えて外に出て、夜勤組のやつらと一緒に捜査して……気づいたら朝だよ」
……やっぱり。
「相変わらずの不幸体質ですね……」
「まぁそのおかげで寝坊はしなかったし、犯人も捕まえられたし、逆に考えれば……!!」
「……それは流石に無理があるんじゃないですか?」
「……」
「……いや、そんな寂しそうな目で見られても……」
俺にどうしろと?
生憎そんな運を良くするような能力は持ち合わせていませんよ?
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