『追跡、接触』

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「……お前達ガードは俺達について何を、どこまで知っている?」 男がポケットから一本、右手で金属矢を取り出して俺に向けながら聞いてきた。 「……いきなり何だ?」 「……上の連中からしても、一応情報の漏洩は避けた方がいいだろうからな。 今の段階でどのくらい知られているのか教えろ。 そうすれば……そうだな。 なるべく苦しまないように殺してやる」 そういう事か。 ……ん? 『上の連中』か……気になるな。 「……ドリームの『幹部』も随分色々と動きまわってるみたいだな? リーダーについては……俺達は知らない。」 「ん? 『幹部の三人』の役割はリーダーとかいう奴からの命令を、俺達下の連中に伝えるだけだと聞いたが……。 ……どうやらガードは全く関係のない情報を入手したようだな?」 ……かかったな。 実際ガードにはそんな情報など全く入ってきていない。 なるほど、三人の幹部がいるんだな。 だが……妙だな? こいつ自身組織のリーダー、そして幹部についてはほとんど知らないような口振りだった。 ……どういう事だ……? 「まあ……それならば問題は無い」 男の声に気づき、思考を中断する。 撃ってくる……!! とにかく立ち上がって……。 いや、そんな暇は無い。 「なに。 大人しくしていればすぐに終わる、安心しろ」 約七メートル程前方で、男が俺の頭に狙いを定める。 回避は間に合わない。 《キープ・アウト》発動。 先程の設定を再度使用。 目の前に壁を……!! 「……っ!!」 俺に向かって撃ち出された金属矢は、俺の一メートル前に創り出された壁にぶつかり、ゆっくりと進み続ける。 壁を通り抜けるまで精々あと一、二秒しか持たないだろう。 俺はまだ立ち上がれていない。 ……かなり疲れるからなるべく使いたくは無いが……仕方ない!! 最初の壁を維持したまま、同じ大きさ、強度の二枚目の壁を創りだす。 これで立ち上がる時間ぐらいは稼げるはず……!! 「死ね……!!」 二枚目を生成した次の瞬間、金属矢が一枚目の壁を通過する。 そして、二枚目の壁に触れ…… 金属矢は弾かれた。
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