立冬

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「うぅっ…寒…」 寮から学校へ向かう途中のわずかな道でもそんな情けない声が出てしまう。だめだなぁ、僕は。 「寒いか?理樹、俺の筋肉カイロで温めてやろうか?」 そう言って真人は胸を張る。 「いや、そのカイロにお世話になることは多分ないよ…」 「ん?そうか?俺はいつでもポカポカだけどな?」 ん~…確かに真人は暖かそうだ、少し筋肉カイロなるものがうらやましくなってしまった…。 校舎に入る、外よりも暖かい空気が少しだけ安心した。 そうしていつもの指定席に向かう。 「おはよう、謙吾、鈴」 そこには既にジャンパーを羽織った謙吾と、嬉しそうにゼリーをほおばる鈴がいた。
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