第二章

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目が覚めた場所は車の中だった。 体を起こして見ると、窓の外は見た事がない景色が広がっていた。 「起きた、澪夜?具合はどう?」 前の席に座っていた幸也が僕に気付いて声をかける。 「何で……幸也が?」 呼び出されて何か嗅がされたのは理解してる。 でも、未だに幸也が漆黒の月のメンバーだと理解したくない自分が居る。 「相変わらず甘いなぁ、澪夜は。正真正銘のメンバーだよ。俺は。」 僕の考えを読んだかのような幸也の態度に、本当の事だと気付かされる。 でも、心は拒否している。 「もうすぐ着くから。」 そんな僕に幸也はそれだけ言って、前を向いた。 何気なく外を見ると、窓の外から手を振っている男性。 …………あ、そうだ。 僕は手招きでその男性を呼んだ。 「何だ?」 若干嬉しそうに見える。 「申し訳ないんだけど、この車から逃がしてくれないか?」 幸也にバレないように小声で頼む。 幸いにもエンジン音でバレてないようだ。 男性は分かったとだけ言って、また外に出た。 その直後、急ブレーキする車。 どうやら、車がパンクしたようだった。 その後、バンッという音と共に僕の横にあるドアが勢いよく開いた。 直ぐに車を降りて、とりあえず走った。 後ろから幸也が能力を発しながら追いかけてくる。 幸也は元々、足が速い。それに加えての能力。 僕は直ぐに追い詰められた。 「余計な手間、かけさせんなよ。」 そう言って、僕に伸ばされる手を横から誰かが掴んだ。 「遅くなったな、澪夜。」 「源吾!」 そう掴んだのは源吾だった。その後ろから雅人と真理亜が来る。 「雅人!真理亜!」 「遅くなっちゃってゴメンね。場所特定するのに時間かかっちゃって。」 ほっと安心するのが自分でも分かった。 幸也は間をとり、源吾と睨みあっている。
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