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はぁはぁ、間に合った。
ギリギリ席に着くことが出来た。
「よぉ。遅かったな。」
「はは、色々あってね。」
僕が席に着くと前の奴が話しかけてくる。
コイツは僕の友達、立川幸也(タチカワユキヤ)。
僕は幸也に曖昧に答えると、息を整えた。
担任が入ってきて、HRが始まる。
「今日は転校生が来てる。しかも三人だ。急な話だが、全員このクラスだ。」
転校生?
担任の言葉を聞いたクラスメートは一斉に騒ぎ出す。
「おら、静かにしろ。あー三人入れ。」
ガラッ
教室のドアが開き、三人が入ってくる。
「柳沢雅人です。宜しく。」
柳沢は知的でクールそうな雰囲気を持っていた。
「高橋源吾だ。宜しくな。」
高橋はいかにも不良っぽい雰囲気を持つ人だった。
「中内真理亜です。宜しくね♪」
中内は幼さが残ってるような感じだった。
三人とも美形なので、クラスはまた騒ぎ出す。
「何か質問あるか?」
そう担任が聞けば、殆どが手を上げる。
「好きなものは何ですか?」や「趣味は?」などありきたりな質問ばかりだが。
「じゃあ、席は…」
担任がそう口にすると皆が近くになりたいと騒ぐ。
「先生、僕は牧野澪夜くんの隣が良いです。」
「俺は後ろ。」
「私も横が良いなぁ。」
何故か皆が僕の近くが良いと言う。
「おい、お前の知り合いか?」
そう幸也が聞いてくるが、マジで知らない。
結局、三人の席は希望通りとなった。
柳沢が左隣で中内が右隣、高橋が後ろだ。
「宜しくね。」
「宜しく。柳沢。」
「下で呼んでくれよ。僕も下で呼ぶから。」
「分かった。雅人。」
柳沢…いや、雅人の希望通り言えば、雅人は笑顔になった。
「私のことも下で呼んでね。」
「じゃ、真理亜さん。」
流石に女性を呼び捨てする事は出来ず、さん付けで呼んだのだが真理亜さんは不服そうだ。
「ダメ!呼び捨て!」
「………真…理亜。」
断る事も出来ず、しどろもどろになりながら言ったのだが、真理亜さ…真理亜は満足そうだった。
「俺の事も下な。名字で呼んだら殺す。」
「…えっと、源吾?」
脅し!?とか思いながらも呼び捨てで呼ぶ。
源吾は微かに笑った。
一瞬だったが、しっかり見えた。
そうしてる間にHRは終わっていた。
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