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「何から話したらいいのか分からないわ……」
「そうか。整理がつくまで俺は待つぞ」
そんな風に言ってゴーストは悠長に紅茶を飲んでいる。
こっちの気も知らないで、とリリアはゴーストを睨むが、ゴーストは気にせず紅茶を飲み干す。
それでもリリアは睨んでくるので仕方無くゴーストは助け舟を出す事にした。
「何から話したらいいのかってお前、竜華と竜華の兄の事で悩んでるんだろう?それを話してくれればいいぞ」
「!?」
リリアはゴーストが竜華と竜華の兄の事を口に出した事に驚く。
竜華の事はいい。驚いたのはゴーストが竜華の兄の名前を口に出した事だった。
「ゴースト……あんたどこまで知ってるの?」
リリアが恐る恐るといったように問いかけてくる。
ゴーストはリリアが何故そんな怯えたように問い掛けてくるのか分からない。
「だいたいの事は竜華から聞いてる。ボイスレコーダーでな」
「嘘……!」
何でも無いように話すゴーストにリリアは驚愕する。
いちいち構っていては話が進まないので、ゴーストは非情に話を進める事にした。
「竜華の兄。龍神を狂わせてしまった事。そして魔王になってこの魔界を支配した。『支配』によって魔物を増やした……全部竜華に聞いた」
リリアは頭を抱え込んでその場にへたり込んでしまう。
「私の出生も聞いたの……?」
へたり込んでしまったリリアを見かねてゴーストは手を差し伸べる。
「お前を支える為に俺はお前を知ったんだ。だから俺に話せ。支えてやる。何のために竜華がお前に執事をつけるなんて入れ知恵したんだ。俺がお前を支える為だ。ほら、立て。支えててやる」
「……ゴースト……」
ゴーストの口上にリリアは黙って頷き、彼の手を取る。
「あんたは私の事何とも思わないの……?私が竜華ちゃん達の兄妹の絆を壊しちゃったのよ?龍神を狂わせちゃったのよ?」
それでもリリアはゴーストの手に自分の手を重ねたままで掴もうとしない。
ゴーストを見ようとはしなかった。
答えを求めているリリアだが、同時にその答えを恐れているようだった。
(調子狂うな。気に入らねぇ……何を気にしてるんだ)
ゴーストはそんなリリアに対して、シンプルに結果だけを言ってやる事にした。
「──なんでだ?お前はただ竜華を助けただけだろう?」
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