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ゴーストにいいようにされてリリアは不満を感じるのと同時に、このままゴーストに身をゆだねてみたいなどといった思考も浮かんでしまう。
「い……いつまで撫でてるのよッ!?」
そんな事を考えてしまった自分が恥ずかしくなり、リリアはゴーストの手を振り解こうと勢いよく頭を振る。
「お前が落ち着くまでだな。まだまだ聞かないといけない事はある。お前を疲れさせる訳にはいかねぇ」
「何で頭撫でて落ち着かせるのよ!?」
「頭撫でられると落ち着かねぇか?
可笑しいな……アルとエアの2人はこれで落ち着くのに」
最後の方のゴーストの呟きは幸いにも、テンパっているリリアには聞こえなかった。
リリアに聞こえていたら子供扱いしたのかと怒っていたであろう発言だ。
「うぅ~…!」
リリアが何も言い返せないので、ゴーストの手は頭の上を離れない。
未だに優しく金糸のようなリリアの髪を撫でている。
「余計に落ち着かないわよッ!!?」
ゴーストはいつまで経っても頭を撫でるのを止めなかった。
このままではどうにかなりそうだったリリアはそうやって声を荒げていた。
「ん。そうか」
そこでゴーストはようやくリリアの頭から手を離して、頭を撫でるのを止める。
「あ……」
リリアは名残惜しげな吐息を漏らす。
「…ッ!」
だが直ぐに我に帰り、慌ててゴーストが今の自分の声を聞いていないか睨むが、ゴーストは気付いていないようだった。
リリアが睨み付けると対抗するように睨み付けてくる、いつも通りのゴーストだった。
「じゃあ、話を続けるか?」
「……そうして頂戴……」
自分は気にしているのにゴーストが全く気にしてない様子なのが不満でリリアの返事はぞんざいだった。
──しかしここで時間を巻き戻してゴーストの心境を覗いてみると……
頭を撫でられたくらいで顔を真っ赤にしているリリアを見てるとだんだんこっちまで恥ずかしくなってきて、リリアにもう止めてと言われた時には心の中で安堵していた。
そんな心境では、リリアの漏らした声を聞き逃しても仕方ない。
リリアがその後睨み付けてきた時はどうしようかと迷い、結局慣れているガン付けをしてしまっていた。
──リリアもゴーストも2人ともとても落ち着いた心境ではなかった。
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