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「え……?」
「竜華を助けたいっていう想いを持って、竜華を助けたい理由を確かめた。それだけあれば充分だ」
想いだけでは挫けそうでも、その想いの理由がある。
理由に捕らわれ、分からなくなっても絶対にしたいという想いがある。
ゴーストが考えるにそれだけあれば充分だと思った。
「──足りない分は俺が補う。支える。だからもう迷う事なく竜華を助けにいけ、リリア。お前を護る為に俺も付いていく」
「……………うん。」
「……──ありがとう、ゴースト」
あれからだいぶ落ち着くまでゴーストに抱きついていたリリア。
リリアはお礼を言って、ゴーストの胸を手で押す。
さっきはあれほど抵抗したというのに、簡単にゴーストはリリアを離す。
「……もう少しだけ抱きついてても良かったかな?」
リリアは名残惜しそうに呟いて、ゴーストに向けて残念だと苦笑を見せた。
「……ッ!?」
その際ようやくゴーストは自分が今まで何をしていたのか分かり、顔をこれ以上ないってくらいに真っ赤にしてリリアに背を向ける。
「お、おお……う…っ!」
今更「ありがとう」に対する返事が返ってきた。しかもその返事も、もの凄くぎこちない。
「ふふふ……あはははっ!」
あからさまに挙動不審になったゴーストを見て、リリアはさっきの男らしかったゴーストはどこに行ったのかと笑った。
「何よその反応?私に対して失礼じゃない?」
本当に可笑しくて、リリアは沢山笑った。
さっきの涙を流した分だけ……いや、それ以上に笑った。
ゴーストは何も言い返せずに、肩を震わせていた。
「『リリアの事が心配なんだ!』」
「ぐっ…!」
「『俺がリリアを護る!』」
「がはっ…!!」
ゴーストは自分が言った台詞をリリアに復唱され、酷い精神ダメージを受けた。
「この魔女がっ……!やっぱり気に入らねぇッ!!!」
ゴーストはリリアに向かってそう叫んで、リリアの部屋を飛び出していった。
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