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「竜華……?おいお前、竜華なのか?」
オルガロスでリリアが泊まっていた部屋。
もしかするとそこにリリアがいるかも知れないと淡い期待を抱いて、ゴーストは訪れたがそこにいたのはリリアではなかった。
ベッドの上にいたのはリリアではなく、竜華だった。
ゴーストは死にかけた姿の竜華が信じられず、問い掛けた。
竜華の強さを戦ったゴーストは知っていた。
その竜華が目の前で倒れているのだ。ゴーストは信じられずその場に立ち尽くす。
ゴーストの問い掛け。
竜華はゴーストの声に気がついて、弱々しく顔を上げる。
その口が微かに震えた。
何か喋っているようだが、聞こえない。
ゴーストは倒れた竜華に駆け寄った。
どうしてそんな怪我をしてる!?
リリアは竜華を助けに行った。
そして竜華は今ここにいる。
ならリリアはどこだ!?
ゴーストの頭の中を様々な疑問が渦巻き、それが焦りとなって竜華に詰め寄る。
「……リリアちゃんは……一人で……けに、きたわ……
…から、……ーストをお……ぃて、きた事は分かった」
「…ッ!!分かったから口を開くな!後で聞く!」
こんな状態で竜華はゴーストに必死にリリアの事を伝えようとしてくれた。
その竜華の姿にゴーストは冷静になる。
これ以上喋らせるのは酷だった。
ゴーストは自分の質問は後にして先に竜華の手当てを始めて、彼女が回復するのを待った。
竜華はその後数時間で驚異的な回復を見せた。
手当てがなければここまで早く、喋れる程に回復はしなかったと竜華は言ったが、流石は伝説と呼ばれるドラゴン。
格が違いすぎて、ゴーストは嫌みの一つも言えなかった。
「──本当に、魔物の癖に優しいわね。リリアちゃんが惚れるわけだ」
竜華は手当てに対して例を言ったが、それは竜華がリリアの事を知っているからだ。
決して竜華の為ではない事をゴーストは分かって貰いたい
魔物はそこまで親切じゃない。
「うっせぇ。テメェだって魔物だろうが」
「あはは。そうね……」
自分達が魔物にしてはズレているのをゴーストも竜華も分かっていたが、敢えて2人とも何も言わなかった。
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