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「私は魔王を止めたかった。でもリリアちゃんを私達の兄妹喧嘩に巻き込みたくなかったから、私はゴーストにリリアの事を託した……」
それなのにどういう事なの?と竜華の目が激しく訴えかけていた。
「ああ。だがリリアは兄妹喧嘩なんて思っちゃいなかったよ。それで悩んでいるアイツを俺は見ていられなかった。だからアイツに発破をかけた。一緒についていくって言ってやった。なのにリリアは俺を置いていったんだ」
ゴーストは竜華に対して一歩も引かなかった。
何故ならリリアが竜華を助けたからこそ、竜華は今ここで生きていられるのだから。
リリアは竜華を魔術を使ってこのオルガロスのリリアの隠れ家にワープさせた。
竜華を助けたリリア。
だが、引き換えに自分が魔王に捕まってしまったらしい。
ゴーストは回復した竜華から全て聞いた。
「……もう大丈夫そうだな」
「どこに行くの……!?」
「分かりきった事を聞くんじゃねぇッ!!」
リリアだったらその剣幕に黙ったが、相手は竜華だった。
兄の……もう兄ではない恐ろしい魔王の力を見た竜華だ。
「ゴースト!あなたじゃ無理よ!勝てっこない!魔王に殺されるわよッ!!」「幽霊は!!……死なねぇッ!!!」
ゴーストは飛び出した。魔王城に向けて、リリアを助ける為に。
リリアに出会って、ゴーストはその運命を変えた。
でもその事でゴーストはリリアを恨んではいない。
口では何度『気に入らない』と言っていてもゴーストはリリアを気に入ってしまった。
好きになってしまった。
──そう。この想いは殺されたって消えはしない。
そう。この想いこそがまた幽霊を作る。俺を作り上げる。
何度だって殺せばいい!
この想いは消えない。
俺は消えない!
「───幽霊『俺』は満月『リリア』が嫌いだったッ!!でも気に入らねぇ事に俺はなぁ!!俺はリリアが……ッ!!」
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