5670人が本棚に入れています
本棚に追加
残ったものは魔王の第6家来。
リリアの最後の言葉『わがまま』を聞いた首に巻かれた―皇女の鎖―──
ゴーストはその後、生まれたアンセンナが3歳の時に起こした災厄によって魔王の支配が弱まるまで意思を持たない幽霊だった。
気がついた時には全てが終わっていた。
リリアの娘、アンセンナの事を気にかける余裕などゴーストにはなかった。
最愛の人を助けられなかった。
自分はむざむざ魔王に負けて、リリアの人質として心無い下僕として魔王に使われていた。
自分の事で、他に頭が回らなかった。
アンセンナが起こした災厄で幽霊の里は魔界から消えた。
ゴーストには何も残らなかった。
アンセンナの事は目に入らない。
―皇女の鎖―がゴーストの体を痛めつけるが、ゴーストはその痛みを受け入れた。
何も出来なかった自分を責める罰として。
もはや鎖は誓約ではなくなり、ゴーストの自己満足を促すくだらない玩具になり果てた。
―少女の紅茶遊戯―はもう二度と紅茶を注ぐことはない。
──その相手は永遠に消え果てたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!