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サイドAーⅠ
教室の窓から見える空
青い空に浮かび流される白い雲が好きだ
僕は、川口龍太
どこにでもいるような普通の公立高校二年生
特技なんてない。
強いて言えば、バスケかな。
この前までバスケ部副キャプテンをしてたから。
僕は身長179cmで高い方だったし、バスケというよりスラムダンクのヒーローに憧れてバスケ部に入った。
あのシュートの瞬間が好きだ!
ドリブルして
ディフェンスをかわして
切り込んで
ジャンプシュート!
決まった~!!
歓声が聞こえる。
あの歓声は
たまらない!
自分だけに送られる声援は自分がヒーローになれた気にさせてくれる
一番好きなのは
フリースロー
あの緊張感
僕は必ずボールのマークを手と手の間にしてからシュートする。
ある種のおまじないだ。
呼吸を整えて
今なら入ると思える
瞬間を待つ
コートは静まる
今だ!シュート!!
パワーを込めたボールが
手を離れ
宙に浮かぶ
弧を描いて
リングの中に向かう
入れ、入れ、入れ~!
パスッ
ボールがネット揺らす音がする
入った~!!
やった~という歓喜の声が一斉に聞こえる
嬉しい気持ちが湧き上がる最高の瞬間だ。
そんな大好きなバスケ部を
僕は夏の大会で三年が引退した直後に退部した。
しかし、後悔はしない。
僕には、素敵な彼女ができたからだ。
彼女は伊藤麻衣、同じ高校の一年生。
朝練をしに学校に行って
放課後もバスケして
疲れて果てて帰って寝る
の単調な毎日を送る僕に変化をくれた。
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