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母が出ていったことで静けさを取り戻したリビングには、テレビの出演者の、気に障る笑い声ばかりが響いていた。
テレビに目を向けながらも、僕の頭の中には母のため息と、最後に言った言葉だけがくり返された。
僕の、人生か。
しばらくの間、テレビの前に居座っていた僕だが、やがて一緒に魂まで吐き出すかのような深いため息を一つついた後、テレビの電源を叩くようにして切った。
テレビからの出演者の馬鹿な笑い声は、そこでプツリと途絶えたが、僕の耳の奥にはその日ベッドに入って深い眠りにつくまで、その笑い声は耳から離れることはなかった。
意識が完全に夢の中へ入っていくまで、僕はぼんやりとした頭の中で何度も呟いた。
こんちくしょう。
これが、僕の世界か。
これから僕が話そうとしているのは、僕を変えた小さな一つの出会いと、僕を取り巻く世界に関する物語だ。
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