7人が本棚に入れています
本棚に追加
僕と女の子は、花畑に並んで立っていた。
目がくらみそうなほど眩しい太陽の光が燦々と降り注ぐ、見える範囲の全てを黄色が覆い尽くしてしまう位の、大きな大きな菜の花畑だ。
空から僕達を照らす太陽に、僕は目を細めた。空には雲一つ無くて、太陽を遮るものは、何もない。
空だけでなく、周りも一面黄金なので、一層眩しく感じた。
ここは何処だろうか?
来た事があるかどうかは、思い出せなかった。でも、言葉では上手く言い表せないくらい、柔らかな安らぎを感じた。
しかしこの場所は僕が自分から行きたいと考えつくには、あまりに場違いで柄に合わない。
でもよく考えたら、僕には自ら行きたいと思えるような、思い入れの強い場所なんて無い。
僕は女の子の方を向いた。
隣に立っている彼女は、こちらに向かって笑いかけていた。
黒い綺麗な髪の毛を、細い肩の辺りまで伸ばしたボブカットで、袖が無くて裾の短い、真っ白な無地のワンピースを着ていた。
それと同じくらい真っ白な足には何も履いていなくて、その裸足には少しだけ土が付いていた。
彼女は笑いながらじっと僕の顔を見ていて、その視線は僕の視線と一直線に交わっていた。
可愛いかった。
最初のコメントを投稿しよう!