鍛冶師1人

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「暇だな~、マスター早く帰ってこないかな~」  歌うのをやめたルカは膝をついて呟いていた。 「こき使われないのはいいけど、何もすることがないのもつまんなくて嫌だな~」  そのまま岩の上で仰向けになった。帽子が落ちた。見上げると空は青空。白い雲がポツリポツリと浮かんでいる。やけに嘴が長い小鳥の群れが飛んでいった。しばらくそれを眺めた。 「なんかないかな?」  突然飛び起き、帽子を拾いかぶり、車の近くに移動した。そして中の荷物をあさり始めた。  食料類や衣服類。必需品や工具セット。売れそうな物や布にくるまれたルカのもう1つの体。そして。 「おっ、これは…」  ルカが手に取ったのは2つの剣。『聖剣』と呼ぶ白鍔の剣と『魔剣』と呼ぶ黒鍔の剣。グレイの愛刀だ。
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