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「11時ジャストだよ」
魔美の言葉に礼司は鬼のノブをドアに付けて握ると『ニューコア』は白いもやに囲まれた。
「いるか?」
「いない」
「俺も感じない」
「じゃあ別なクラブに移動した?」
「ああ、たぶん。どこだ?」
2人は階段を駆け上り道路に出ると
「あっち」
魔美は左を指差した。
「円山町か」
礼司はリュックをおろしチャックを開け、中からインナーブレードを取り出した。
「魔美、滑れるのか?」
「うん、小さい頃パパと一緒に滑ったから」
「うん」
2人はインナーブレドを履き終えて立ち上がった。
「よし、行くぞ」
「OK」
「膝を曲げてな」
礼司の言葉で魔美はスタートしスペイン坂をかなりのスピードで下り、突き当たりを右に曲がった。
「おお、やるな」
「へへ」
魔美は礼司の手をしっかり握った。路地を抜け、東急デパートを左に曲がり坂を上がると、ホテルが立ち並ぶ間に数件の大きなライブハウスがあった。
滑りながら、「この辺りだよ」と魔美が言った。
「おお、俺も感じる。このビルだ」
礼司はインナーブレードを脱ぐとエレベーターのボタンを押した。
「何階だ?」
「4階か5階か6階」
「うん、あと30分か」
礼司は4階と5階と6階を押した。
「あー、魔美」
「何?」
「武器、武器がないぞ」
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