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「あはは。ないよ」
「素手かい?」
エレベーターが4階で止まるとドアが開いた。
その先には黒い扉に「クラブ ロングラン」と書いてあった。
「ここじゃない」
礼司たちはエレベーターの扉を閉めた。
「次だな」
「うん」
エレベーターの扉が開くと、台風のような風が吹いてきた。
2人は身をすくめエレベーターから飛び出した。そして、クラブのステージに向かった。
「すげーこれが、走鬼か」
「うん、私たちの体に入ろうとしている」
「大丈夫か?」
「私は大丈夫だけど」
「俺もおかげさまで、強くなったみたいだ」
「うん」
魔美は笑った。
「でも、実態がないから素手でも戦えん」
「あれよ」
そう言って、魔美はステージに上がってギターを持った。
「なんだ、音楽か?」
礼司はステージの裏に回って電源を入れると、アンプがブーンと言う音をたて、スピーカーが低いうなりを上げていた。
「おい、やつのパワーが強くなってきたぞ」
「私、危なそう。苦しい」
「待っていろよ。今助けてやる」
礼司はアンプてボリュームをいっぱいに上げ、ギターをかかえてピックを持った。
「あっ、俺ギター弾けねー」
「もー」
「じゃあ、こっち」
魔美はキーボードのスイッチを入れた。
「おい、俺は『キラキラ星』しか弾けないぞ。もう一曲は『猫踏んじゃった』」
「私が弾くわ」
そう言ってキーボードを弾き始めた。
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