第六章 走鬼

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1階に下りた礼司たちはホテル街の坂を下った。その時、魔美が礼司に言った。 「うん、はいプレゼント」 魔美はジャンパーのポケットから袋を取り出した。 「くしゃくしゃになっちゃったけど」 「ああ、ありがとう」 それを受け取った礼司が涙ぐんだ。 「実は俺も」 水色の小さな四角い箱を渡した。 礼司は袋を開けると黒の皮の手袋が入っていた。 「レーシンググローブだ。ありがとう、魔美」   箱を開けた魔美が、 「あっハートのペンダントだ」 「あはは」 礼司は顔を赤くして笑った 「ありがとう。でもさ、ハートのネックレスをもらうには年齢差が有りすぎー。ふふふ」 「わりい、高校生に何のプレゼントをあげていいかわからんから」 「ううん、でもうれしい。ありがとう」 魔美はそっと右目尻を人差し指でなでた。 「ラーメンでも食べるか」 「うん、味噌ラーメン」 「ああ、俺も好きだ。メリークリスマス」 「メリークリスマス」 礼司は魔美の頭をなで、渋谷の並木はキラキラと輝いていた。そして、バックにはひらなともの『天国への手紙』の歌が流れていた。
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