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「なるほど、財産目的かい」
「ええ」
「OK」
女性は目を閉じたままだった。八王子インターを出て右に曲がり、国道16号線を
西へ向かって市道に入ると、大きな埋立地が広がっていた。
「おお、何だこの地縛霊は。手とか足とか首だけだぞ」
「ええ、この土地はあちこちからの残土を盛っているから」
「こんなに死体があるのか」
「残念ながら」
タクシーは埋立地を抜けて、右側の森の前に車を停めた。
「ここか」
「ええ、森へ入って20メートルくらいの所よ」
「ああ、彼女は?」
「眠らせておくわ」
山を登ると木と木の間に白い女性の霊の姿が見えた。
「今掘り出してやるからな」
50センチくらいをスパナで掘ると柔らかいものに当たり、グリーンの洋服が見えてきた。
「みつけだぞ。車に戻って彼女を起こす」
礼司は運転席に戻って恵子を起こした。
「お客さん、着きましたよ」
「は、はい。ここは?」
「言われた通りの場所ですが」
「あっ、どうしよう。記憶にないわ」
「それと、この上って言われたけど」
「私、何て言ったのかしら」
「一緒に行きますか?」
「はい、お願いします」
恵子は持っていた地図を見ながら言った。
「この辺りです」
礼司は、先ほど掘った跡に木の葉をかけておき、わざとその場所を踏んづけた。
「何がですか?」
「私が夢で見た場所です」
礼司が足で木の葉を払らいながら言った。
「何だここは?」
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