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恵子が駆け寄って、木の葉を手で触った。
「ここ柔らかい」
恵子が木の葉を取り除くと、驚き唇が小刻みに震えていた
「お姉さん」
礼司は心配そうな顔をして
木の葉の中から出ている死体を見た
「どうしました?」
「姉の死体が」
「警察に電話をします」
恵子は、
「はい」
と小さな声で返事をした。
1月1日12時30分、明治神宮の参道駅側の大鳥居をでると、仁はリュックのお茶を飲みながら言った。
「年越しそばにラーメン食べよう」
「うん」
恋人の真奈はそう言って、2人で原宿駅の歩道橋を越えてラーメン屋に入ると
「正月だから〝全部いり〟だ」
仁は店員に注文をすると
続いて真奈も
「私も」
細メンの九州ラーメンはさほど時間もかからず仁は目の前に置かれた。仁は水を飲んでラーメンをすすった。
「うっ」
仁はいの辺りを押さえると体を震わせながら椅子から落ちて倒れた。
「仁、仁」
真奈は倒れた仁を仰向けにすると、仁の姿は老人のように眼がくぼみ、顔も手もしわだらけになっていた。
1月4日、雨の夜11時、青山墓地の道路で休憩のために夜野礼司が眠っていた。
コツコツと、助手席を叩く音がすると魔美は白い息を吐いてニッコリと笑った
「あけましておめでとう」
「ああ、おめでとう」
魔美の黒いトックリのセーターの胸にハートのペンダントが着けてあった。
「あのさ、この間ありがとうな、このグローブ」
「単純なおやじだな」
「だってうれしいから」
「うん、ペンダントありがとうね。うふふ」
「おい、今日の仕事は?」
「うん、吸鬼」
「ドラキュラか」
「まあね。人の体液を吸うんだけど、移動が早くて実態がわからないの」
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