第七章 吸鬼

4/12
前へ
/101ページ
次へ
 魔美は神社前で起きた事件を説明した。 「それって、原因は何だ?」 「それがわからないの」 「鬼じゃないんじゃないか?」 「ううん、同じしわくちゃになる事件が他に2件あった」 「まったく同じパターンか?」 「同じなのは初詣帰り」 「どこと何処だ」 「浅草の浅草寺、芝増上寺」 「宗教も場所もまったく違うな」 「そこで、夜野さんに協力してもらおう思って」 「何だ?」 「死んだ人の声を聞いて欲しいの」 「俺がか?」 「うん。夜野さんがだんだん能力ついてきたから」 「どうする?」 「元旦に死んだ、尾田仁さんのお葬式に行って、そこで彼の霊に聞くの」 「おお、どこのお寺だ」 「全然寺、葬式は明日昼の11時から」 「じゃあ、ここまでわざわざ来るなよ。それに、死んで3日も何していたんだ」 「変死なので警察の司法解剖もあったし、火葬場も今日まで休みだしね」 「わかった、じゃあまた明日な」 「ちょっと行って欲しいところがあるの」 「どこだ?」 「汐留」 「おお、ありがとう。売り上げに協力いただいて」  礼司はニコッと笑った。 「何よ、どうせ寝ていたくせに」 礼司の車は新橋のガードをくぐって浜離宮の方までゆっくりと走り、汐留のオフィス街をぐるりと回った。 「何も感じない?」 「ん? 何も感じないぞ」 「そうか、まだ早いか」 「何がだ?」 「戻ろう」
/101ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1004人が本棚に入れています
本棚に追加