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頭を掻きながら、礼司は車に戻る途中足を止めた。
「ま、待て。普通夜の11時なら遺族は家の中にいるぞ。どうやって殺す?」
「どうしよう」
「魔美、種を飲んだのは誰だ」
「仁さんのお母さんと髭のおじさんとその隣の女性」
「と、美人の真奈ちゃん」
「こらおやじ」
「合計4人だ。魔美、今夜11時の彼女達の居場所チェックしろ」
「はい」
魔美は火葬待合室にいた仁の母親に声をかけた。
「このたびはご愁傷様です。私は全然寺のものですが」
「あっ、ご苦労様です」
「納骨等のお打ち合わせもありますので、今夜の連絡先は」
「はい、自宅におりますが」
魔美は目の前にいた髭の男性に会釈をすると、その隣りに先ほど種を飲んだ女性がいた。
「兄さん、今夜はどうするの」
仁の母親が聞いた
「ああ、今夜はこいつと品川のプラザホテルに泊まって、明日札幌に帰るわ」
魔美はほっとして礼司の方を見ると、
「あ、あのおやじ」
と魔美は真奈と話をしている礼司を見つけた。
「帰りのタクシーで自宅まで送りますよ」
「いいんですか」
「はい。これも葬儀代に入っていますから」
「ありがとうございます」
真奈は仁の両親に挨拶を終えると礼司の車に乗った。
「どちらまで?」
「自由が丘です」
「はい、かしこまりました」
礼司は落合から山手通りへ出て、居眠りをしている真奈を自由が丘に送り届けた。
礼司は真奈をタクシーから降ろすと魔美に電話をした。
「真奈ちゃんを降ろしたよ。自宅も確認した」
「まったく、エロおやじ」
「そう言えば、魔美。携帯を持っているのに、何でいつも直接来るんだ」
「そうね、あはは」
「俺は今日8時に上がるから、10時に全然寺に迎えに行く。デカ猫とブチ犬に出動かけてくれ」
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