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「ほい」
電話を切った魔美は
「だんだんかっこよくなるな。あのおやじ」
魔美はそう思った。
10時に礼司が全然寺へ着くと、魔美が嵐丸を抱いてナイルが横に座っていた。
「おお、フルキャストだね」
魔美と嵐丸は後ろのシート、ナイルは前のシートに座り、礼司の顔を舐めた。
「おお、元気だったか」
ナイルに赤い首輪をした。そして、鈴のついた青い首輪を魔美に渡した。
「これ、嵐丸に?」
「うん」
首輪を付けられた嵐丸は、車の中を暴れまくった。
「気に入らないようね」
「大丈夫だ。すぐに馴染む」
「ところで、この首輪意味があるの?」
「ちょっとね」
中野新橋の仁の自宅に着いた時には、嵐丸は礼司の脇で寝ていた。
「おお、いるいる。大丈夫だ、ここで待とう」
時計を見た礼司は魔美に聞いた。
「なあ、魔美」
「うん?」
「昨日汐留に行ったのは、理由があるのか?」
「あるよ」
「やっぱりな。作戦を言うぞ」
礼司は、魔美からもらったグローブを付けながら言った。
「魔美、ここを11時10分に片付けて、そのあとに品川プラザホテル、最後に真奈ちゃんだ」
「間に合うの?」
「わからん」
「それ作戦じゃないよ」
「あはは、行くぞ。ナイルは待っていてくれ」
「嵐丸は?」
「お願いします」
「うん、どうするの?」
「仁の一家は相当な猫好きらしい」
「どうして?」
「お母さんの喪服に猫の毛がついていた。それに猫のストラップ、マンハッタナーズの財布」
「うん」
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