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礼司のタクシーは山手通りを時速100キロで飛ばし、
11時30分に品川駅前のプラザホテルの前に着いた。
「ナイル降りろ」
魔美は尻尾を振って降りたナイルの鼻にナプキンをつけた。
「何だそれ?」
「髭のおじさんが使ったナプキン」
「わん」
と吠えて、ナイルは階段を駆け上がった。
「さすが猟犬だ。早い」
2階のへ上がるとナイルが奥から走って来て、目の前を3階へ上がっていった。
「魔美。ゆっくり上がろう。見つけたら吠えるさ」
ワンワンという声を聞いて、2人は4階に上がると、4006号室の前でナイルがドアを引っ掻いていた。
「ここだ。ところでどうやって入る?」
「もう大丈夫かな。思いっきりぶつかって」
「ホテルのドアがそんなんで開くか?」
礼司はドアに肩からぶつかった。すると、礼司の体はドアをすり抜けた。
「ありゃりゃ、本当だ」
ドアの鍵を開けると、魔美とナイルが入って来た。
「水、水」
と言いながら、窓に浮いている種に、バスから汲んだ水をかけて、出てきた芽を波動で燃やすと礼司は言った。
「もう一個は?」
「無い」
「これって向こうの世界に行けば人間だよな」
「うん」
「今の高さは女性だ。ひょっとしたら買い物で外かも。ナイル外だ」
部屋中をウロウロしていたナイルは、鼻を上に向けると部屋から飛び出した。
「やった」
「おー」
ナイルは階段を駆け下りて外へ飛び出した。そして、駅前のコンビニエンスストアへ入った。
「やっと追いついた」
礼司がドアを開けると、レジの前に緑色の種が宙に浮いていた。
「水は?」
礼司は目の前にあったおでんのお汁をかけた。すると、種の芽はさっきの倍のスピードで大きくなり、枝を鞭のようにして礼司にせまってきた。
「はい、波動」
礼司が手先から波動を出すと大きな枝はあっという間に燃え出した。
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