-影ノ桜-

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“怪奇”と言うモノをご存知だろうか。 それはこの世の万象。者達であり、物事である不可思議な存在。 有り体に言ってしまえばオカルトそのものだ。 本来ならば【俺】や祖父にしか見えないし、触れられ無い……そんなモノだ。 正確には【俺】や祖父に“近い”者だが…。 普段は“あの世”とも“異界”とも呼ばれる、この世とは若干ズレた場所にいる怪奇達なのだが、ここ数年で普通の人間にも見たり、触れたり、喋ったりする事ができるようになった。 それも何の戸惑いもなく自然にだ。 まるで最初から怪奇と共にあるかのように……。 (この世があの世に蝕まれているから) 【俺】は花子さんと話しながらそんな事を考えていた。 トイレの花子さん。 とは言ってもこれは【俺】たちが呼んでいる言わば通称みたいな物で彼女“達”からすれば自分達はトイレットという立派な一族なのだそうだ。 ちなみに【俺】が話しているのは 花子・獅子学高校・トイレット 獅子学と言うのは名字みたいな物で日本名に直すと 獅子学・H・T・花子 となる。 Hは高校。つまり、High schoolのH。TはToiletである。 まぁHとTは、基本免許証とか社員証とかの身分証明書にしか書かれず一般的には 獅子学・花子 と言う呼び方が正しい。 ネタなのかまじめなのかは知らないがトイレの販売会社に就職しているらしい。 ちなみに彼女の家は学校近くにある高級マンションの一室であり、獅子学高校のトイレでは無い。 さらに言えば一児の母である。 娘の名前は獅子学・花見と言い今年から小学生三年生だ。 さらに言うと彼女達のトイレットは家系を表す記号の様なもので名前とは関係が無い。 さらにさらに言うと彼女の名前が花子なのはたまたまである。 他にも花沢や花浦、花獅子、花風など。名前に花は付くが、名前としては様々な物があるそうだ。 大半が花子さんに聞いた話だが。
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