遠く近い場所へと

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少女に一礼しマントを翻すと、ユリサ女王は周辺の部下達に命じる 「緊急辞令発動!総員シールド解除!魔導員は城へ!」 「なんじゃ・・・若いのぅ・・・ティル・・・家の中へ」 老婆が、ティルの傍に寄ると小声で呟いた 「婆様・・私はどうしたら・・・それに姫君は」 「姫君を連れてユリサ女王とにげるんじゃ」 老婆は、荷袋へ食糧や本を詰めながら言った 「にげるって!そんな婆様!わたしは」 「この国は弱い、いずれこうなる運命じゃった。西軍が此処を制圧するのも時間の問題じゃ」 「だからと言って、婆様や村の戦士を置いて私はにげるなど!」 「わしも魔導士のはしくれ・・・老いても村人の命くらいは守ることはできる・・・しかしのぅティル・・歌姫はお前でないと守りきれん」 老婆は、ティルの横でうつむく少女を見つめると優しく微笑んだ 「腐海の森を抜け、東に向かえ。そこにワシの古い友人がおる。ティル・・迷うんじゃない・・これもお前の運命なんじゃ」 老婆は日記を取り出すと、ティルに渡し強く両手を握りしめた 「歌姫よ・・・貴女の守るべき姫君が・・・どうか無事であるよう・・・」
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