16人が本棚に入れています
本棚に追加
少女に一礼しマントを翻すと、ユリサ女王は周辺の部下達に命じる
「緊急辞令発動!総員シールド解除!魔導員は城へ!」
「なんじゃ・・・若いのぅ・・・ティル・・・家の中へ」
老婆が、ティルの傍に寄ると小声で呟いた
「婆様・・私はどうしたら・・・それに姫君は」
「姫君を連れてユリサ女王とにげるんじゃ」
老婆は、荷袋へ食糧や本を詰めながら言った
「にげるって!そんな婆様!わたしは」
「この国は弱い、いずれこうなる運命じゃった。西軍が此処を制圧するのも時間の問題じゃ」
「だからと言って、婆様や村の戦士を置いて私はにげるなど!」
「わしも魔導士のはしくれ・・・老いても村人の命くらいは守ることはできる・・・しかしのぅティル・・歌姫はお前でないと守りきれん」
老婆は、ティルの横でうつむく少女を見つめると優しく微笑んだ
「腐海の森を抜け、東に向かえ。そこにワシの古い友人がおる。ティル・・迷うんじゃない・・これもお前の運命なんじゃ」
老婆は日記を取り出すと、ティルに渡し強く両手を握りしめた
「歌姫よ・・・貴女の守るべき姫君が・・・どうか無事であるよう・・・」
最初のコメントを投稿しよう!