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タタ…タタタ…タンッ!!!
素早い足音と共に、樹で造られた重苦しい扉がギィ―…と開かれる
「婆様、今帰りました」
村の中心に聳える小さな祭壇の前で手を合わせていた老婆にその者は声をかけた
「ティルかい…?」
老婆は蒼紫のフードを軽く上げると声がした方をゆっくりと振り向いた
「はい、ティルです。配達帰りに此方に向かう蟲に出くわしてしまって…」
「そうかぃ蟲に…最近、歌声が聴こえないから…蟲達も道を見失っているのかねぇ…」
老婆はため息をつきながら蒼空を見上げる
「…姫君はご病気なのでしょうか…」
ティルも心配そうに蒼空を見上げた
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