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保育園に入園。
入園式はもちろん祖母でした。保育園の遠足や運動会もすべて祖母が来てくれました。
笑われるかもしれませんが、園服がほつれたり、靴下に穴が開いたりしても、祖母が布をあてがい、繕ってくれました。
夏には浴衣を縫ったり、冬には毛糸で手袋やベストを編んでくれました。
それは、私にとってはごく当たり前のことでした。
ほったて小屋のようなところに住んでいましたが、冬が寒くて眠れないと祖母は、私の手を祖母の胸に、足は祖母の太ももに入れて温めてくれました。
電気は裸電球に手作りのカサをつけたもので薄暗いものでしたが、温かさをたくさん感じました。
保育園のころの両親の記憶は、ほとんどありません。祖母が大好きな子供でした。何をするのも、祖母の姿を追い掛けていました。
保育園の送り迎えはなく、雨が途中で降ると、濡れながら走って帰っていました。送り迎えなんて、私には大それたことで、他の子供達が羨ましく感じていました。
兄のお下がりの服ばかり着ていたので、男の子に間違えられたこともあります。すべて、兄のお下がりの服でした。
その頃から、なんとなく私は両親にはあまり大事にはされていないと感じながら、祖母に見つからないように泣いたこともあります。
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