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『いてて…やっと着いた……あれ?』
辿り着いた村には、活気が無かった。
漁師のオヤジが捕った魚の自慢をすることも無ければ、村長が戦闘のレクチャーをしているわけでも無い。
『本当にここ…アルニ村?…そうだ!レナは!?』
僕を放置(?)して行った薄情な(ォイ)レナを見付けるために、いつもの桟橋に向かって行った。
『レナ!』
『え…と、どちら様かしら?』
『…え?』
どちら様、って…さっきまで一緒にいたじゃん!
なに、もうボケが始まったの!?←
『前にどこかで会ったかしら…テルミナの人?…でも、そうね…あなた、昔隣に住んでた子に似てるわね』
『…え、その子の名前は…?』
嫌な予感。
だってレナの隣の家って言ったら…僕の家じゃないか。
過去形になってるってことは、つまり…
『…その子ね、死んじゃったんだ。10年前に…浜で溺れてね。…その子、セルジュって言ったんだ』
『…っ!セルジュは僕だっ!』
思わず出た突拍子もない言葉に、目の前のレナは唖然とする。…当然だ。
『あなたがセルジュ…!?…セ、セルジュのことでそんな冗談やめて!死んじゃってるんだよ、あの子は…もう…』
これ以上ここにいてはいけないと悟った僕は、ごめん、と一言謝って桟橋を後にしようとした。
が、ふとレナに呼び止められる。
『…風鳴きの岬にあの子のお墓があるの。良かったら行ってあげて。ここ数年は誰も行ってないはずだから…』
『…あぁ、わかった。ありがとう』
『…さっきはゴメンね、ついカッとなっちゃって…それじゃ、さよなら…旅の人』
寂しげなレナの顔を見ているのが辛くて、僕は早々に桟橋を去った。
僕の墓があるという、岬を目指して。
…今回シリアスだな←
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