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「自分を見直せ。それが出来ない奴が何を作ったとしてもそれ以上先には進めぬ」 と師匠は云った。 美作は呆然とした。意味がわからなかった。 来る日も来る日も陶芸に明け暮れ、その結果展覧会で受賞し自分は世間から認められるようになった。 当然師匠も喜んでくれると思っていた。 「よくやったな」 その言葉を期待していたのに。 僕は一一 どうして陶芸家になったんだろう。 カウンターに顔を埋めたぽつんと呟く。 店は閉店の準備にとりかかっておりすでに客はいない。 カウンターに出てきたラストが一日の労をねぎらって自分のために水割りを作っている。
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