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「ねえラストさん」 「なによ、どうせ彼女のことでも考えてたんでしょ」 「ちがう、仕事のこと考えてたんだよ」 「仕事? 仕事は順調でしょう。なんとかの賞も獲ったんだし。ほら、あたし学がなくてよくわかんないんだけど」 学があろうとなかろうと関係ないさ。 そう云おうと思ったが美作は口に出すのを止めた。 「表面上はね」 と云う。 「あんた、仕事なんて表面上うまく行かない人のほうが多いんだから文句ばっか云ってちゃダメよ」 「ん?」 グラスを傾けるラストの上に一枚の絵が飾ってあった。美作はその絵をみつめる。
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