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美作浩二はうつろな表情で携帯を見つめていた。 「電話してよ、か」 からりと響く氷の音が耳に残る。 「どうしたの?」 とラストが云った。 ここは桜木町の奥まったところにあるバー・ケセラセラ。知る人ぞ知る隠れた名店である。 「いつもより元気がないわね」 「そうかい」 酒気帯びた声で美作は応える。ふだんあまり酒を嗜まない美作だが嫌なことがあるとここに来て酒を呷るのは彼なりの処世術であり生きるための儀式でもあった。 (と云っても今回のやけ酒はいつもと違うみたいだけど)
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