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ラストは水割りを口にしたまま何も答えなかった。
憂いと喜びを称えたなんとも云えぬ表情で美作をみつめる。
「このあと、空いてる?」
「空いてるわよ」
「じゃあ僕と」
美作の言葉を遮るようにラストはグラスをそっと取り上げる。
「何すんだよ」
「私を誘うなら、彼女と別れてからにしてよ」
とラストは云った。
くるりと振り向き台所に向かう。蛇口を捻ると勢いよく水が飛び出したのでラストは少し蛇口を緩め洗い物をはじめた。
背中越しに水割りをせがむ美作の声が聞こえてくる。
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