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師匠には僕のやろうとしていることがわからないだろう、と美作は思った。
いや本当は分かっているのかもしれない。分かってるからこそ僕の作品をまっとうに評価しようとしないのだ。
そうだ。
そうにちがいない。
最初一一
美作はただ器ひとつ作ってみたくて陶芸を始めたのだった。
器ひとつ作ることに全精力を傾ける。
何かに打ち込む。
ひたすら轆轤に向かうことで美作は何もかも忘れることができた。
すうっと研ぎ澄まされていく感覚。
それが快感だった。
器を作るひとつひとつの工程に没頭できればそれで満足だった。
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