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佳代はゆっくりと流兜の隣まで歩み寄ると、一緒に朝日を眺めた。
流兜は佳代が横に来ても反応を見せず、朝日から目を逸らす事は無かった。
その様子から、流兜の佳代に対する過保護が少しはマシになったんだという事は分かった。
「おはよう…佳代。いつも通り…俺はまだまだいるぞ?」
流兜の言った言葉から、流兜はいつも朝早くは朝日を見ているであろう事は分かった。
「おはよう…お兄ちゃん」
佳代は流兜に挨拶しにきただけのようで、流兜におはようと言うと、佳代は流兜の飲んだグラスを持ち、下に降りていった。
「亮佑……早く戻ってこいよ?」
流兜はその言葉以上何も呟かず、一時間程朝日を眺めると、下へと降りていった。
階段を降りていき、最初に目に入ったのは三大貴族の一人、ノア。
流兜に気づくと、ゆっくりと顔を向けた。
「流兜か…。おはよう…。」
ノアから向けられたのは意外にも優しき目。
流兜を見ればすぐに殺気を放っていたノアだったが、些か成長したんだなと感じられた。
「まったく……お前は朝日が好きだな?
吸血鬼は太陽が苦手なはずなのに…」
Gの意志の分類は吸血鬼のはずだが、太陽を怖がる程、Gの意志はショボくない。
それがGの意志…いや、アルヴァンクオリティー。
「ハハハッ…それを言ったらお前も太陽の光を浴びれねーよ…。」
流兜はそう言うと、ノアの横を通り抜け、更に下の階へと降りていった。
「あら…?流兜ではありませんか?早いですわね…?」
流兜を呼ぶ声が聞こえた方を見ると、そこにはもう一人の三大貴族……だったリリアがいた。
……だった。
つまり今はリリアは三大貴族ではない。
リリアは川田亮佑と仲が良かった事は学園生活から明白だった。
故に川田亮佑について聞かれたが、リリアはまったく口を割ろうとはしなかった。
女王はリリアの貴族としての権限を剥奪し、ストラスの名前を名乗る事を禁じた。
自分が一番可愛い貴族には、娘だろうが助けようという事は考えない。
三大貴族の権限も、あまつさえ親さえ失ったリリアを亮哉が引き取り、亮佑が戻ってくるまでは娘として接しようと思った。
亮佑が帰ってくれば、アメリカを元に戻してくれるだろうと信じていたから。
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