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先行を取ったのはS15。 いくらスタートダッシュに有利なミッドシップでも、馬力の差はごまかせない。 パワー・ウェイト・レシオの数値を見ても PWR=車体重量÷最大出力 キャリィ(DA52T) 680Kg÷120PS=約5.6Kg/PS シルビア(S15) 1240Kg÷350PS=約3.54Kg/PS とS15が有利である事が分かる。 アベレージを取り第一左中速コーナーへ入るS15。 (アベレージを取れたのはスペックの差か向こうが後追いを選んだかのどっちかね。180SXに勝った軽トラ。マグレか凄腕か。最初のコーナーで見極める!) 左コーナー手前からブレーキを踏み減速すると同時にステアリングを右に切る。 イン側のクリッピングポイントを取り、素早くコーナーを立ち上がる。 巴の走り方はグリップ走行。 タイヤを無駄なく有効的に使う走り方。 F1やSUPER GTの走り方と言えば解りやすいだろう。 (さぁて、軽トラ君はどう見せるかしら?) S15は高い脱出速度をキープしたまま、第二コーナーへと向かう。 一方、キャリィはスタートで遅れを取り、後方に位置してしまっていた。 先に第一コーナーをクリアしたS15の走りを後ろから見た哲雄は笑みを浮かべる。 (グリップ走行とは面白みの無いやっちゃな。せっかくのバトルや。楽しもうやないかい!) 哲雄は左コーナーへ差し掛かると言うのに、ステアリングを右に切った。 端から見れば自滅行為にしか見えないが、キャリィが右へ向いたと思うと今度は左へステアリングを切る。 するとテールスライドが発生し、カウンターを当ててコーナーをスピーディーかつ大アングルで抜けていく。 数あるドリフトの中で高難易度を誇る「フェイントドリフト」を繰り出した。 白煙とタイヤカスをギャラリーに浴びせたキャリィも第二コーナーへ向けて加速する。 (馬鹿じゃないの!?ドリフトなんて非効率的でウケ狙いのテクニックを勝負に持ち込むなんて!やる気あるの?) 巴は真剣勝負にパフォーマンスを持って来る哲雄の走りに怒りを覚えた。 (そんな走り方するなら、さっさと終わらせるわ)
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