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先のS字でスピードを落としたS15のすぐ30m程後ろにキャリィが付く。 (まさかS字で追い付かれるなんて思わなかったわ。けど、もうゴールは目前。卑怯だとは思うけど、ここはブロックし続けてでも勝ちを取る!!) 箕面峠下りの後半は前半、中盤と比べて道幅が狭い上に低速コーナーが多い。 後半とゴールまでは低速コーナーが19あり、その内もっとも難所とされているのが8連続ヘアピン。 勾配やコーナーの角度はいろは坂程きつくはないが、規則正しくなく角度もコーナー事にバラバラ。 つまり、後追いの状態で後半に入ると抜き返す余裕は無く、中盤までのポジションがゴールまで固定されてしまう。 「勝敗は中盤で着く」 それが走り屋として箕面を走る者の常識。 だが、ここで巴はある疑問に気付く。 (なんでアイツ。中盤に入っても抜けなかったの?いくらスペック差があるにしても地元なら中盤までに抜くチャンスは…) その時、巴はある真実に気付いてしまった。 (そうよ、アイツ。抜けなかったんじゃなくて抜かなかったのよ!!でも、それじゃ自分の首を締めるのと同じよ?まさか、後半にも抜けるポイントがあるの!?) そう考えた巴は上る時に頭に焼き付けた道路の映像を再生する。 だが、どう考えても抜けるようなポイントは存在しない。 (さっきみたいに未舗装の路肩は無いし、まさかとは思うけどアレやるにも排水溝なんてのも無し。そんな抜くポイント無しに何で後追いのまま後半に?意味がわからない!!)
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