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約50分後。 キャリィへのパーツ装着作業が終わった。 そこにはタコ焼き屋台としてのキャリィの姿は無く、代わりに走る事に特化した、言わば「ストリート仕様」のキャリィの姿があった。 通気性や派手さにこだわったFRP製のフロント・サイド・リアエアロバンパー。 リアパネルと荷台の床板を繋ぐロールバーと、同じくリアパネルに付けられたカーボン製GTウィング。 タイヤはスポーツ走行向きの代物へ変え、ホイールは当然JWLマークがついている特注の3スポークホイールを装着。 マフラーは細っちょろい純正から、これまたワンオフの砲弾マフラー。 もちろんJASMA認定品。 足回りやエンジン回りも変更され、厳つい体つきに変わったキャリィ。 その姿を見詰める二人。 「…やっぱし、カッコええわ。ワシのキャリィ」 「確かに、これはカッコええわ」 「はぁー…」 「はぁー…」 同じタイミングで至福の溜息を吐く二人。 それから10分後。 我に帰った二人はそれぞれの愛車に乗り込む。 ポケットからスズキのロゴが描かれたキーホルダーを取り出し、三つ付いた鍵からキャリィのキーを選び、キーシリンダーへ差し込み奥へ捻る。 少しのスターターの音の後、エンジンから生み出された排気ガスがエキゾーストマニホールドからスポーツ触媒、サイレンサーを通り、砲弾マフラーから爆音を奏でる。 二台のエキゾーストサウンドが絡み合い、近くの住宅街に響く。 二回程エンジンを吹かし、クラッチを繋いで二台が動き出す。 そして、二台は同じ道を列なり進み、大阪の走り屋御用達のスポット「箕面」へと向かう。
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