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少しして、幽々子様……と言うらしい女性が自分の目の前に着地した。
「貴方……操屋 繰奈(ソウヤ クルナ)、で間違い無いかしら?」
そして開口一番、人の名前をフルネームで呼び捨てにした。
「え……ぇ、その……通りです、が……」
「ふーん、そう……妖夢、客間に彼を案内なさい、この子は客よ?」
「え? あ……は、はい!」
自分の肯定を聞くと同時、美人さんは現れた時同様ふよふよと飛んで行った。
……それを目で追い、初めてここが和装の屋敷の庭に当たる部分だと気付く。
…………人って命の危機にひんすると、案外周囲に気付かないんだな……。
「えーと、その……立てますか?」
「え……ぇ、お気遣い……無く」
目の前に小さな右手が差し出される。
多少警戒してるのが解るけど、どうやら手を貸そうとしてくれたらしい。
それをやんわりと断って立ち上がると、「こちらへどうぞ」と妖夢さん? は呟いて屋敷の方へ歩き出した。
……夢何だから、怯える事も無いだろう。
自分より小さなその背中を、同じく歩いて追う事にした。
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