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「あぁ、そうだよ。 はいこれ」
老婆はニコニコとした表情を変える事無くそう言い、カウンター越しに手を伸ばした。
その手の平には、色は青くて表面には「8」と書かれた箱が乗っていて、自分はその箱を手に取った。
そして変わりにポケットから100円玉を三枚取り出し、老婆の手に乗せる。
「毎度ありがとうね」
「えぇ……こちら……こそ、何時もどうも……」
今更ながら言えば、自分は今近所にある……と言うか自分の通って居る高校の制服姿だ。
ついでに言えば学ランだ。
そして日は真上にあるから、大々昼時と言った所だろう。
午前授業な訳では無い、単なるサボりだ。
そして自分は、何処からどう見ても立派な「中学生」らしい。
……高校生にすら見られないのは何時もの事。
何はともあれ、そんな人間に煙草を売ってくれるのはここ位だ。
「良いんだよ、繰ちゃんは悪い子じゃ無いって解ってるからねぇ」
……平日の真っ昼間から学校サボって制服姿で煙草を買うのは悪い子じゃ無いのだろうか……。
「……とり、あえず……繰ちゃんは…………止めて下さい……」
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