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「……どちら様で?」
「名乗……る、程の者……では……」
自分は今、何故か緑色の服を着た二刀流の少女に威嚇されている。
と言うか何かやたら長い刀を喉元に突き付けられている。
「そうですか……じゃあ侵入者と言う事で構わないな?」
「い……や、いやいや、侵入者と言えば……侵入者かもですが……」
「そうか、なら斬る」
……これは酷い。
「ま、ぁ……落ち着いて、下さい……」
……ただあの変な穴に落とされた後、石畳に背中を強打して悶えて居ただけで侵入者扱い何てたまった物じゃ無い……。
両手を上げて、万歳の姿勢を取りながらそう言ってみた。
「断る」
「……そう、ですか……」
……多分、この少女には勝てない。
只の刀ですら結構な重さがあると聞くのに、こんな長物を片手で持つ人間に、自慢にならないけど全力で運動不足な自分じゃ絶対勝てない。
……まぁ未練がある訳でも無い、か……。
静かに目を閉じる。
すると。
「待ちなさい、妖夢」
……何か、綺麗な声が聞こえた。
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