序章

7/8
前へ
/9ページ
次へ
三人は走った。 足が千切れるぐらい走った。 だが、時既に遅し。 三人の村は焼け野原となった。 「嘘だろ… 親父ー! 母さん! いたら返事しろー!」 男の子は大声で叫んだ。 すると近くの瓦礫から声が聞こえ三人は瓦礫の方へと向かった。 声の主はここで武器屋を営んでいる親父さんだった。 「おぉ。 お前たち、無事だったのか…」 親父さんの声はもう絶え絶えだったけど自慢の笑顔は絶やさない。 「おじさん、どうしたの! なにがあったの!」 アルスは親父さんに村の事情を聞いた。 すると親父さんは神妙な顔になって。 「ブライトワーズ軍が俺たちの村を襲って来たんで俺たちも応戦したんだが 奴ら、魔法使いを用意してやがって村は焼かれてしまったんだ」 アルスは自分の腕を握り締めた。 それを見た親父さんはアルスの頭に自分の手を置いた。 「アルス…確かに魔法を使えるが、お前のは人を助ける魔法だ。 それは俺…いや村のみんなが思っているんだよ」 親父さんの顔はみるみる青くなっている。 「そうだ、お前にプレゼントがある」 親父さんの下から剣が出てきた。 「誕生日おめでとう…」 親父は笑いながら息を引き取った。 「そっか。 今日、俺の誕生日だったんだな。 忘れていた…」 アルスの目から涙が一筋に流れた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加