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数十分後、僕の両手には様々な店の買物袋が握られていた。重い。
「うん、いい食材が揃ったな。これなら母さんも、栄養満点の美味しいご飯を作ってくれるだろう。そろそろ帰るとしようか。黒猫、もう少しだけ待っててくれ。家についたら構ってあげるから」
フニャアー。
黒猫は気持ち良さそうに、脚に額を擦り付けて来た。
相変わらず猫ってのは、扱いやすいのか気まぐれなのか解らない。
「ん、よし。じゃあ、早く帰ろう」
来た道を戻りだし、黒猫も後についてくる。
「……おぉ」
思わず声をあげてしまった。今すれ違ったOLさん、すっごい美人だ。
あれ、でもまだ17時になってない。
……。
大人には大人の事情があるのだろう。
先を歩む黒猫の急かすような鳴き声で、僕は慌てて歩きだした。
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