平凡

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  エレベーターのドアが開き、開店待ちの人達で賑わう光景が目に入って来た。 春樹は長蛇の列の最後尾に向かうと、その途中で一人の男が呼び止める。 「遅えよ。そんなんじゃ狙い台が取れねえだろ!」 足を止め、強い口調の男に顔を向ける。 「なんだ弘斗か……狙い台なんてないよ……」 愛想笑いを浮かべながら列の最後尾へ急ぐ。 二人は高校こそ違うものの中学まで同じで、パチスロを生業としている同業者。 弘斗は咥えている煙草を地面へ投げ付け、足で揉み消しながら春樹の後ろ姿を睨む。  
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