ブラックアウト

平凡

　
出口からすぐの換金所で、１万円札と500円玉を換金し、財布に抽選券と１万円札をねじ込む。

再び店内へ戻り、状況把握の為に一通り全台をチェックする。

最後にジャグラーのコーナーへ足を踏み入れると、真ん中辺りで弘斗が頭上に２千枚所持し、必死でレバーを叩いている姿が目に入った。

たまたま隣の席が空いていたので、春樹は腰を降ろす。

「お前にしては固い勝負してるじゃないか」

春樹はわざと皮肉っぽい口調で話し掛けた。

「チッ！ ウザイ奴が来やがった。肉（キン肉マン）で掴めなかったから仕方なくだよ」

「だろうな。しかしお前がジャグ打つなんて世も末だな」

春樹は後ろポケットから財布を取り出し、先程の抽選券を弘斗に見せた。